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2001年成人式を考える!

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2001年の高知県の成人式は全国的にも話題になりました。我々FUSEはこれらの問題に対し、何かできないかと考え、当日の様子を伝える記事を集めてみました。色々なご意見をお待ちしております。
 

1月8日県民体育館 2001年(平成13年)1月9日(火曜日)高知新聞朝刊

新世紀に羽ばたけ!!

県内10市町村で成人式・8966人が門出

21世紀最初の「成人の日」8日、県内10市町村で成人式が行われ、フレッシュな20歳の門出を祝福した。少子化で減少傾向が続く本県の新成人数は、昨年よりさらに794人少ない8966人(男4462人、女4504人)で、平成8年から6年連続の減少となった。各会場では首長らが「21世紀に羽ばたく新成人として、自分で考え、行動できる大人になってほしい」などと新成人にエールを送って祝福。高知市の式典では騒々しさに来賓の橋本大ニ郎知事が声を荒らげる場面もあった。(1面)


大人になれない新成人

1月8日県民体育館・知事

高知市の成人式

「静かにしろ!」「出て行け!」。新成人の無作法ぶりに知事がキレた。高知市桟橋通二丁目の県民体育館で八日行われた同市の成人式。来賓の橋本大二郎知事が、祝辞の最中にヤジを飛ばす新成人を大声で怒鳴りつける一幕があった。式のさなかにも絶え間なく続く私語、雑談、携帯電話…。マナーの悪さは毎年のように問題になるが、今年もやっぱり。成人式を迎えても大人になりきれない若者たちの無礼、無作法ぶりに本当の大人たちはあきれ顔だ。式のさなかにも絶え間なく続く私語、雑談、携帯電話…。マナーの悪さは毎年のように問題になるが、今年もやっぱり。成人式を迎えても大人になりきれない若者たちの無礼、無作法ぶりに本当の大人たちはあきれ顔だ。(1面参照)

祝辞の途中、ヤジを飛ばしたグループに対して声を荒げる橋本知事。

知事「出て行け」  祝辞中騒いだ若者一括

 知事が声を荒らげたのは、松尾徹人市長の式辞に続いてステージで祝辞を述べている最中。来賓のはなむけの言葉というのに、二階席に座った十人ほどのグループが突然、「大二郎うるさい!」「か一え一れ一、か一え一れ一!」と大声でヤジを飛ばし始めた。

 たまりかねた知事は祝辞を中断し、「静かにしろ!」と一喝。「出て行け!」と怒鳴りつけた。しかしグル一プは懲りず、「お前が出て行け!」と応酬。知事が静まり返った会場に向け、「どう思いますか。恥ずかしいと思うでしょう?」と問い掛けるとパラパラと賛同の拍手が起きた。

 知事はこの後再び祝辞に戻り、「何事も人から教えられるのを待つのでなく、自分で見つけ、自分で考えられる大人になってほしい」と締めくくった。

 知事が高知市の成人式でマナーの悪さを一喝したのは、就任直後の平成四年以来。式典終了後、知事は「毎年騒がしさを我慢していたが、今回は言わせて もらった。私自身は成人式に出席しなかった一人で、祝辞や訓示が面白くない気持ちも分からなくはない。だが、中には人生の記念としてまじめに出席している人もいる。そのことをきちっと考えられる大人になってほしい」とコメント。

 「騒ぎ立て、目立つことでしか自分をアピールできない人をかわいそうに思う。もっと違ったことにエネルギーを向けてほしい」と話した。

 毎年のようにマナーの悪さがやり玉に挙がる成人式。今年も何度も入場を促すアナウンスにもかかわらず、式が始まってから入場する人、席の後方で日本 酒を飲む人、携帯電話や隊との雑談が絶えない人…。真剣に式典に臨む若者の一方で、一部とはいえあまりに常識に欠けた無礼、無作法ぶりも目についた。

 毎年式の準備に携わる広瀬清一・市青年センター所長は「それでもここ2、3年はましな方。今年は一定の騒がしさはあったが、途中で席を立ったり、携帯電話の音を鳴らす人は少なく、全体としてはまずまずだった。あの一件さえなければ・・・」と残念がっていた。

 今年の同市の成人式には、対 象者の約73%に当たる2802人が出席。冒頭、松尾市長が「土佐の風土が生んだ龍馬に学び、龍馬の心が息づく街を皆さんと一緒に築き上げたい。21世紀に輝く都市を目指してこじゃんと頑張ろう」とエール。新成人を代表し、高知女子大 看護学部で学ぶ津野奈央子さん(下島町)が決意を披露した。

 津野さんは、看護の道に進むことに迷いがあった自分が、一人のがん患者を受け持ったことがきっかけで自覚と責任が芽生えたことを話し、「前だけを見て一本の道を歩いていきたい」と力強く訴えた。


2001年(平成13年)1月9日(火曜日)高知新聞朝刊
高知新聞

どう感じた?知事の注意 大半はヤジに批判的

ヤジに対する知事の一喝。目の前で繰り広げられた騒動の一都始終を、会場 の新成人たちはどう受け止めたか。声を集めた。

 「同い年として、ヤジを飛ばした彼らは恥ずかしい。顔が真っ赤になったよね」とうなずき合うのは、東京で専門学校に通う和泉希(のぞみ)さんと山本紋可(あやか)さん。

 山本さんは「私が知事だったら、手が出そうなぐらいひどいヤジだった。知事が怒るのも当然」と感じた半面、「でも『出て行け』という言葉はちょっと・・・。頭ごなしに怒るのではなく、若者との対話的な感じでうまく諭してほしかった」とも。一生に一度の晴れの日に「それにしても後味が悪い」と残念そう。

 「手拍子で『帰れ帰れ』と騒ぐなんて、知事が怒ったのも当たり前。あれで怒らんかったら高知は任せられん!」とは会社員の女性。「知事が『出て行け!』と言った時、周りの人たちと『賛成!』って拍手しました」

 「ちょうどヤジっていた男の子たちの真下に座っていたんです」と話す女子大生三人組は「知事の話が始まったらすぐ騒ぎ始めて、『大二郎うるさい』『帰れ!』ってあんまり。『これは知事が絶対キレる』とひやひやはらはらしていたら、案の定でした」とため息。一部の脱線行為に「今年の新成人はみんな礼儀知らずと思われるのは嫌です!!」と憤る。

 「ヤジっていた中に友達がおった。恥ずかしかった…」と話すのはフリーターの男性。「でも、知事はこれまでも成人式に出席しているのだから、そういうやつがいるのは想像できたはず。『帰れ』というヤジに『出て行け』という調子で言い返すのは大人げないと思う」

 専門学校生の大原梢さんは「県外の成人式で市長が怒ったという話を親から聞いてました。まさか高知でもあるなんて…」。「久しぶりに友達に会えるからはしゃぐ気持ちも分かる。けどあれはやりすぎです」

 会場では携帯電話で連絡を取り合う新成人も。「どうしても話したい人は、携帯をマナーモードにしてメールを送り合ったらどうでしょう。そしたら静かになるかな」

 「本当にうるさかった。知事が怒るんじゃなくて、同世代のぼくたちが注意するべきですよ」と腹立たしさを隠せないのは大学生の稲垣博史さん。少し考えて、「でも、ぼくらが言っても無駄か。大人が怒ったからきちんとけじめがついたんでしょう

 会場には車いすの新成人も。先天性の脳性まひがある宮田明日香さんは「しかられて当然ですよねえ」。騒々しいハプニングではあったが「式典はいい記念になった。みんなの輪の中に入っていけるよう、もっともっと外に出られるようにしたい」と笑顔で話した。

 大半の新成人は知事に同情的、ヤジに批判的だが、中にはこんな声も。

 「成人式ってそもそも同窓会。集まる場所を提供されてるわけ。静かにはできませんよ」(女子大生の二人組)「会場に入る前の注意事項は、『携帯を切る』以外特になかった。騒がないことも注意するべきだと思う。まあ、私語を慎むのは最低限のマナーといわれたらそれまでかなあ」(カップル)。「まだぼくらは20歳ながやき、集まったら騒ぐよ。5、6年ぐらいしたら落ち着いてくるけんどね」(男性二人組)。

2001年(平成13年)1月9日(火曜日)高知新聞朝刊から引用
 

2001年1月26日号 週刊ポスト
週刊ポスト1/26

「成人式はバトルロワイヤル」

いったい誰がための式典なのか。気に食わないなら来なけりゃいいものを、わざわざツルんでやって来ては飲んでヤジって大騒ぎ。こんな奴らのためにわざわざ税金で式典などやってやる必要はない!という声が全国で噴出する中、臆することなく若者に「出て行け!」と一喝した橋本大二郎知事に、緊急インタビューを試みた。


 
埼玉・深谷市では騒がしい会場に市長が祝辞放棄、香川・善通寺市では新成人の酒盛りに市長が激怒して退席、京都市や宮崎・延岡市では会場で暴動騒ぎが起こるなど、今年も各地で大荒れだった成人式。

 香川・高松市で新成人らが飲酒の上、挨拶する増田昌三市長に向けて至近距離からクラッカーを鳴らし、紙屑を投げ付けた問題は、告訴にまで発展、逮捕者も出た。「メディアを通じて報じられたことで、高松市民のみならず、全国から電話やメールで100件前後の意見が寄せられました。市で協議した結果、主催者として毅然とした対応をする必要があることで、行為に及んだグループ5人を1月10日、威力業務妨害の疑いで告訴いたしました」(高松市役所・社会教育課)

 そして翌11日、高松北署は出頭してきた20歳の男性4人と19歳の少年1人を同容疑で逮捕。5人は取り調べに対し、「遊び半分にやったが報道を見てびっくりした」と供述したという。

高松市では逮捕者まで出た

 まさに「バトルロワイヤル」さながらの惨状だが、そうした中、会場の「バカ成人」を一喝したのが橋本大ニ郎・高知県知事だった。

 1月8日午前11時。約2800人の新成人を集めて高知県民体育館で行なわれた高知市主催の成人式は、開会早々から私語や携帯電話での語し声で騒然としていた。そして来賓として招かれていた橋本知事の登場で騒々しさはピークに。白い袴にサングラス姿などで、扇子を片手に2階席に陣取って奇声をあげていた男 性グループが、祝辞が始まって間もなく、「大ニ郎うるさい」「長いぞ」とヤジを飛ばしたのだ。あげ句、手拍子を打ちながら「帰れコール」を連呼し始めた。

 温厚で知られる知事もさすがに顔を紅潮させ、2階席を指さしながら、大音声で一声、叫んだ。「静かにしろ。出て行け!」

 その後、橋本氏の元には、全国から手紙や電子メールが殺到。いずれも「よくやった」という励ましの声だった。

 いったい「パカ成人」につける薬はないのか。以下、橋本知事があらためて語る。

「成人式には疑問を持っていた」

〇式当日までに、すでに他県では新成人による騒動が報道されていたが。

橋本「いや、別にトラブルの予感があったわけではありませんよ(笑い)。確かに92年、知事になった直後に同じく高知市の成人式で挨拶をした際にも、会場がざわついて、『静かにしなさい』ときつい言い方をしたことがあったのですが、その後、高知市も成人式の進行にずいぶん工夫をされていましたから。92年以来、私の心の中になんとなくモヤモヤしたものがあったのは事実ですが・・・」

〇会場へ入った時の様子は?

橋本「私が話す前から方々で奇声が上がっていた。ここで初めてこれは何かあるかなと感じました。そして、私が喋りはじめたときに一部から罵声があがった。あっ、これは単に騒ぐだけではなくて、私に対して何らかの思いもあるんだなと思った。とはいえ、大半の新成人は本当に普通の、晴れやかな気持ちで出席していたに違いないでしょう。そんな彼らに悪い思い出を作らしてはいかんと思った。だからこそ、一部で騒いでいる彼らに『騒ぐのだったら出て行きなさい』といったわけです」

〇成人式に対する個人的な印象を。

橋本「私自身、全共闘の世代でもあり、世の中の体制的なものに反発しながら青春時代を送ってきました。その延長線上で東京にいた時に区から成人式のお知らせが手元に届いた。そのときは、20歳になったからといって役所がみんな を集めて、その会場に誰かお偉いさんぶった人がやって来て語を聞かせるということはたまらんと感じて、式典には行かなかったんです。そういう講釈みたいなものは嫌いだったし、成人式のあり方には、知事の立場になる前から一定 の疑問を持っていました。知事になってからもそうした思いは続いていたのです。

 ただ、そんな思いがあったからこそ、少なくとも成人式では若い人に興味のありそうなことを短い言葉にして話せばいいのではないかと自分なりに思案したんですが・・・」

〇高知に限らず、近年、全国各地で問題が噴出している。

橋本「それは新成人だからもう社会的責任があるんだという言い方で片付けるのではなく、そういう若い人たちを作り出してしまった社会はつまり、自分たち大人社会であり、彼らの行動はそれを映し出している鏡だと受け止めるべき だと思っています。

 とはいえ、今も昔も成人式は20歳の節目を楽しんで祝いたい若者が大半であることには変わりない。それを自分たちだけ楽しめれぱいいと身勝手なことをやるのはどうかと思うし、今回騒いだ彼らにもあの日のことを恥ずかしいと思う日がきっと来るはずです。ああいう形でしか自分を表現できないのはむしろかわいそうだと感じます」

『若者に迎合する必要はない』

〇今の若者たちをバカに、非常識にしたのは、親、しかも特に団塊の世代、つまり知事の世代との指摘もある(注・橋本知事は54歳。30代の息子2人の父でもある)。

橋本「それはその通りでしょう。子供たちの問題を、親は学校のせいに、学校は親のせいにするという責任のなすり合いがずいぶん繰り返されてきた。でも、個人的には学校よりもむしろ親の問題がもう一度クローズアップされるべきだと思う。僕らの世代がどういう形で子育てをして来たのか、改めて問い直さなければならない時期にきていると思います。今の段階で若者たちに規律を求めて、何か様々な法を改正して厳しく取り締まることも一面必要ですが、それだけでは決して解決しない。時間はかかるが自分たちが戦後、何をしてきたのか、10年かけてでも見直す必要があるんです」

〇成人式を止めるべきという声もあるが?

橋本「今すぐなくしたほうがいいとまでは思わないが、正直にいえば、私自身の中で(成人式は)「出たくない会」のひとつになっていたんです。"ツライ"という思いをたくさん抱えているんですよ。自分なりに努力しても受け入れてもらえないのがひとつ。そして自分は若い頃、偉い方の訓示を聞くことが嫌だった。なのに奇しくもいま、自分がやる立場になってしまった。今年の一連の騒動でも、テレビなどでコメンテーターが、祝辞の内容が時代遅れだというようなことを紋切り型のように語っている。

 式典の翌日、市の教育長がお見えになって『市としては問題点を工夫し、やり直して取り組むので来年も来て下さい』といわれた。その場では"いやです"とはいえませんから(笑い)、『承知しました。また検討します』と返答して おきましたがね、正直、ツライです」

〇来年の式典に出席する意思がない人のために、会場外にスクリーンを設置するという案が出ているが。

橋本「何も若者に迎合してまで式をやっていく必要があるのかとは思いますね。飛躍的な言い方かもしれませんが、なんでも若い人たちにすべて感覚を合わせて式典を上手く進行させて行けばいいというのなら、それは総会屋に頼んで総会を無事に終了できればいいという、かつての企業の総務部の発想とまったく変わらない。それはおかしいでしょう。実際、海外ではほとんど成人式はないわけだし、外にスクリーンを置くとか、それが悪いかどうかはわかりませんが、それだけでことを何とか解決しようという発想は控えるべきなのではないか。もっと本質的な部分で考えるべきだと思います」

〇「バカ成人」につける薬はないということか。

橋本「いや、そうは思いません。やせ我慢の部分もありますが、やはりやせ我慢をしてでもね・・・、あの人たちが本当に何かに目を見開いてくれるタイプの人たちか、それは直接話してないのでわからないけれども、全体的に騒いだり、ワイワイやってる若者たちがバカかというと決してそうではないと思うんです。そのことは大人として一口に片付けるのではなくて、やはり彼らにどう対応していくのか、それは決して迎合するという意味ではなくて、その可能性をどうやって伸ばしていくか。それを考えていく、そのやせ我慢は少なくとも必要だと思います」

〇インタビューは1月11日、高知県庁舎で行なった。橋本氏は時にこみあげそうになる怒りを自ら鎮めながら、努めて冷静に語った。全国各地で暴走した成人たちに、その沈着さを備える日は来るのだろうか。

2001年1月26日号 週刊ポストから引用

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